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【読書感想】『モリー先生との火曜日』を読んで固定概念からの解放(書評)

ミッチ・アルボムの著書『モリー先生との火曜日』を英語原文と日本語翻訳版の両方で読みました。ここに感想を記します。原題『Tuesdays with Morrie』。(ネタバレにはならない様に配慮はしているつもりです。)

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『モリー先生と火曜日』概要

ミッチ・アルボム氏はアメリカ人(フィラデルフィア出身)ジャーナリスト。この本は、彼の経験を基にしたノンフィクションです。つまり、実際にあったお話。

ブランダイス大学の社会学教授であったモリー・シュワルツ先生が、この本の主役です。このモリー先生は70歳を過ぎてから難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患い、余命宣告をされてしまいます。その病床にあるモリーとかつての教え子であったミッチが火曜日に定期的な面会を行う、その様子を記した作品です。

モリーが亡くなるまでの14回の面会。その中で、死・家族・感情・老いなどのテーマについて、モリーが彼の思いを語ります。それらが著者の感想と共に描かれて行くのです。

 

『モリー先生と火曜日』感想

先ず大前提として私がこの本に興味を惹かれたのは、この主人公であるモリー先生が、1つの宗教に対して執着していない点です。正確に言うと、モリーは宗教でさえ中立な立場で俯瞰できる柔軟性を持っています。

 

例えばこの本の中に、モリーが日本人に馴染みの深い仏教の考え方を引用する場面が描かれています。「モノに執着してはいけない」といった内容です。そうです、どんなものであれ良いものは良いと評価して受け入れる姿勢を持っているのが、このモリー先生なのです。これが日本人にも受け入れやすい本である理由だと感じています。

 

この本を通して学んだことは、”物事を俯瞰的にみる勇気”です。

俯瞰的:物事を一段高い観点から俯瞰するように、大局的・客観的に捉えること

私たちは日々の情報を能動的に選択しているつもりいるでしょう。自分が主導権を握って知りたい情報を得ていると信じている。本当にそうなのか?というのが、モリーの疑問・洞察です。この点において、モリーの指摘は衝撃的でした。彼は「文化が役に立たない」可能性について示唆します。

 

ここでいう文化とは、習慣的な思考といった所でしょうか。特に、地位や名声・お金に関しては、分かり易い例となるでしょう。一般的にはこの様に考えられると思います。

  • 名声=高いと良い
  • お金=多いと良い
  • 寿命=長いと良い

モリーは、これは洗脳だろう?と疑問を投げかけます。この洗脳から解かれない限り、本当の意味での自由を手に入れることが出来ないのです。本当の意味の幸せ、と言い換えても良いでしょう。

 

世の中にはびこる思い込み。強い言葉で言えば、洗脳。これに疑いの目を向けることは、確かに面白い取り組みだと感じました。「常識的に考えて、それはやっちゃいけない」なんて、ついつい口にしてしまうけど、常識って何なのでしょうね。

 

常識、常識と口にしながら、皆と同じ情報・その見解をメディアの上で共有する。ソーシャルメディアで繋がることに、あくせくする。年収を比べて、落ち込む。有名になった友達をうらやむ。多大な学費を費やす。これが常識と繋がった我々の文化で、固定概念である可能性は多大にある様に感じます。

さて一方で、病床にあるモリーに沢山の人が会いに来る理由は何かと考える時、それはその思い込みを払拭してくれます。そもそも体のほぼ全てが動かせないモリー、”常識的”に考えれば不幸な人に分類されるのかも知れません。しかし当の本人は幸福を味方につけ、さらにはその幸福と生きる勇気を人に与えることが出来るのです。唯一アウトプットできる彼の言葉だけを使って。

 

著者であるミッチもモリーに魅了されたその1人。現に安くはない飛行機代を掛け、大きな収入が得られるはずの時間を犠牲にして、モリーのトイレの世話をしなければならないにも関わらず、毎週火曜日にモリーに会いに行きます。そこまでしてでも会いたい人が存在するなんて、ミッチにとっては幸せな事ですね。モリーに会えばその言葉に癒されたり、人生における問題を突き付けられたりする。ミッチに代わって、このモリーの魅力を体感できるのが、本書と言えるでしょう。

 

モリーが現役で教授をしている時の話で、面白い授業のエピソードが引用されています。モリー先生は社会学の授業で教室に入ってくるのですが、なんと何も話をせずに約15分間の沈黙を貫くのです。皆さんはどの様な気持ちになるでしょうか?平然としていられますか?不安・懐疑・苛立ち・困惑、いろいろな心理が想像できますね。その中でも、世の中にはその沈黙を楽しめる強者もいた様ですよ。沈黙について考えさせるモリーの授業でした。モリーの発想は本当に面白い!

 

最後にモリーのマントラを

互いに愛せよ。さなくば滅びあるのみ。

死を目の前に人々を幸福にさせる存在。それは死と本気で向き合ったモリーだからこそ出せた答えなのでしょうか。一方、大切な存在であるモリーを亡くしたミッチは、愛する人が話をしている時はこれが最後だと思って聞くべきだ、という結論に達した様です。そう思わせた過程は、実際に『モリー先生との火曜日』でお楽しみ下さい。

 

まとめ

今回は、『モリー先生との火曜日』の読書感想を記しました。本当の自由、本当の幸福。それらの意味をモリーの人生を通して積極的に考える機会になる、とても良い本と感じました。日本語訳も読みやすいので、おすすめです。

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