和食には欠かせない出汁。そのうちの1つに煮干しがありますが、簡単に出汁が取れるので大変重宝します。しかしながら、ずっと気になっていたことが。。。出汁の取り方として殆どの商品パッケージの裏には、こう書かれているのです。
頭と腹わたを取り除くと、より一層おいしいだしがとれます。
これって、本当なのでしょうか?頭と腹ワタを取り除く作業、忙しい毎日では、結構手間ですよね。しかし、これで本当に美味しくなるなら、もちろんやる価値アリですね。要するに「その手間を掛けるだけの効果があるか」がポイントだと思います。
今回15g煮干しの頭と腹ワタを取り除く時間を測ってみました。取り除く時間で3分。準備や片付けも含めると、約5分です。たかが5分、されど5分です。
それでは「頭と腹ワタを除くと美味しくなるか?」のテストを行いたいのですが、違う日に違う料理で試しても良し悪しは分かりにくいので、同じ日に同じ条件で作り分けて比較してみました。
煮干し出汁の取り方 結論
先に結論を2つ。
頭と腹ワタの有り無し テスト方法
(1)3つのサンプルを用意します。それぞれで重さ15g。
①そのまま(頭と腹ワタは付いたまま)
②メーカー推奨(頭と腹ワタを除去)
③(苦いと言われる)頭と腹ワタそのもの
(2)この3つのサンプルを使ってパッケージ裏に書かれている説明通りに出汁を取ります。水500ccに煮干し15gを使用。
(3)そして、この3つのサンプルをそれぞれ「出汁そのもの」と「味噌汁」で試食し、味の違いを比べます。
「出汁そのもの」
「味噌汁」
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テスト経過(写真と解説)
今回使用した煮干しはコチラです。定番と言ってよいでしょう。ヤマキの無添加品です。そのまま食べても美味しいヤツです。
3つのサンプルは、正確に重さを測り、正味で15gとしました。
これらを別々の鍋に入れて(水500ccに煮干し15g)、先ずは30分、水のままで放置します。
30分後、加熱開始。それぞれの沸騰具合にムラが無いように、その場に張り付いて、火加減を調整しました。
沸騰してから、6~7分間、煮出していきます。途中、アクが出たらすくいました。
それでは、6~7分間の煮出しが完了しました。それぞれ鍋の状態を見てみましょう。先ずは、
サンプル①(そのまま)。
サンプル②(頭と腹ワタ除去)
サンプル③(頭と腹ワタそのもの)
煮出した出汁のそれぞれのサンプルがこちらです。写真では見にくいかも知れませんが、色づきの度合いは、③>②>①で、濃いのは③です。意外にも薄いのが①でした。
試飲の結果、美味しさは、②>①>③で、一番美味しいのは②でした。①は旨味が薄い。③は苦い。
サンプルを鍋に戻して、味噌を加えます。味噌も計量して、それぞれ45gを溶かしました。味噌はタニタの米味噌です。
味噌を溶かしたサンプルがコチラです。味噌汁にすると外観では、何も変わりませんね。香りが悪いのは③で、若干の臭みを感じました。
それでは、ひとつずつ頂きます。味が分かりやすい様に、大さじ1をゴクリと飲んでいきます。
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比較結果・味の評価
結果を表にまとめました。個人の評価に偏らない様に、家族にもコンセプトは伝えず、一番美味しいモノに投票してもらいました。
メーカーがおすすめする通り、頭と腹ワタを取り除いた②が1番美味しいという結果となりました。
意外だったのが、そのまま①です。頭と腹ワタが付いたままなので、苦みが出ると思いきや、なんと味も旨味も薄いという結果になってしまったのです。
結果の考察
このテストから3つのことが考えられます。
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その他の気づき
このテストを実施している中で気づいたことを2つメモしておきます。
- 15gの煮干しとする場合、頭と腹ワタを除く作業に、約5分掛かる。
- また頭と腹ワタを除いた煮干しを15gとするのに使用した煮干しは21g。つまり、残りの6gが頭と腹ワタの量。約70%が有効に使える量。但し、旨みは出やすくなるので、これは損をしたことにはならない。
煮干しの使い方をご提案
以上を内容を踏まえ、煮干し出汁を少しでも美味しく頂くために、私が提案するのは以下のコトです。
頭と腹ワタを除いた方が美味しいことは、このテストで分かりました。しかし、特に無添加の煮干しは、酸化するのが早いのも事実。酸化は空気と熱に関係がある為、出来るだけ空気に触れない様にチャック付きの保存バックに入れ、空気を抜いて、冷凍保存するのが良さそうです。
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最後に
今回は、煮干しから出汁を取る時に「頭と腹ワタを除くと美味しくなるか?」について検証を行いました。1種類の煮干ししか試していない点はありますが、明らかに「頭と腹ワタを除いた煮干し」の方が美味しいことが分かりました。時間に余裕がある場合は、それらを取り除いて使うコトをおすすめします。ひと手間必要ですが、美味しさは手間以上です!美味しい出汁をお楽しみください。
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